
春の訪れをどこよりも早く感じることができる高知。桜の開花宣言を待つのももどかしく、南国の日差しに育まれた美味しいものと、そこに住む人たちの温かい心に触れる旅に出よう。
まずは高知市内を巡るドライブからスタート。市内中心部からハンドルを南に切って、走ること約15分。広々とした芝生の公園にテントがいくつも並び、買い物客で賑わう「高知県立池公園」が見えてくる。毎週土曜日に開催されている「高知オーガニックマーケット」だ。
ここは有機農法で育てられた野菜をはじめ、人と環境に優しい加工食品やクラフトを、生産者が直接販売する市場。現在、全国各地で開催されているオーガニックマーケットのなかでも、その先駆け的存在だ。
ゆったりとしたレイアウトで店が並び、子どもたちが自由に走り回っている。家族連れでものんびりとショッピングを楽しめるのが魅力だ。焼き立てのピザや美味しそうなスイーツ、手づくりの小物やナチュラルな衣料品など、見ているだけでも楽しい。ショッピングのあとは、有機栽培豆を使ったコーヒーを片手にベンチでひと休み。春の気配を感じながらリラックスしよう。
続いて池公園から北へ向かって約10分。濃い緑が映える五台山へ。実はこの山のお寺には、願い事を一つだけ叶えてくれるという「一言地蔵」があり、パワースポットとして人気を集めている。叶えたい願いを一つだけ伝えにいこう。







竹林寺の一言地蔵に願いを伝えたら、すぐ近くにある「高知県立牧野植物園」に足を運ぼう。
牧野植物園は高知県出身で世界的植物学者の牧野富太郎博士の業績をたたえ、後世に伝えるため造られたのだそう。約6ヘクタールの広大な園内では、山の起伏を活かし、自然に近い形で育てられた約3000種類の草花が観賞できる。これからの季節はツツジやヤマザクラなど春の花々が咲き誇り、華やかな雰囲気になる。牧野博士が命名した花も数多くあり、改めて博士の偉大さを実感できるだろう。
植物園をたっぷり散策したら、高知市中心部にある「ひろめ市場」へ向かおう。ここは鰹の藁焼きタタキはもちろん、高知名物の屋台餃子やエスニック料理などのお店が並ぶ、まさに食のアミューズメントパーク。フードコート形式なので、注文した料理は土佐の地酒と共にその場で気軽にいただける。観光客も地元の人も一緒になって食べたり、飲んだり。いつしか隣のお客さんと友達に…などということもあるのが、ひろめ市場の魅力だ。高知の夜は賑やかに更けていく。


高知の旅の二日目は「日曜市」の散策からスタート。日曜市は高知市中心部の追手筋約1・3キロに400店以上の露店が並ぶ日本最大の街路市。300年以上の歴史を誇り、昔から土佐の台所として親しまれている。
店頭には、旬の野菜や果物はもちろん、山菜をネタにした田舎寿司や手づくりのおまんじゅう、行列必至の名物いも天など、素朴な味わいの品々がずらり。ほかにも干物や雑貨、衣料品に至るまで、バラエティ豊かな品が揃う。その季節にしか手に入らないレアな品もあるので、ゆっくり時間をかけてチェックしよう。
店を切り盛りするのは、主に農家のおかあさん。彼女たちの威勢の良い土佐弁と温かい人情に触れることができるのも、日曜市ならでは。春から夏にかけては高知特産の柑橘類・小夏をはじめ、朝掘りのタケノコや甘酸っぱいスモモなどが次々と登場する。買った商品は、市場内にある宅配便受付所から、直接全国へ発送することもできる。






高知市から車で東へ約1時間の安芸市へ。2014年3月9日には南国安芸道路が「香南のいちIC」まで延長されて、東部へのアクセスがぐんと向上した。安芸市の手前、芸西村からは、海岸沿いの国道55号を走り、太平洋の潮風を感じながらドライブを楽しもう。 安芸市は幕末から明治にかけて活躍した実業家・岩崎弥太郎の生誕地。三菱グループの創始者といえば知らない人はいないはず。パワフルな人生を送った弥太郎の生家もパワースポットといえるかもしれない。
生家前にあるオープンテラスのカフェ「まる弥カフェ」では、地元素材を使ったスイーツやドリンクが楽しめる。ドライブの疲れを癒やすのにぴったりだ。 旅の最後は、まる弥カフェからほど近い、内原野公園内にある「ガラス工房」でトンボ玉づくりにチャレンジ。約1000度のバーナーの炎でガラス棒を溶かしてつくる作業にドキドキ。帰りは太平洋に沈む夕陽を追いかけるように高知市内へ向かってドライブ。雄大な太平洋や南国の太陽、土佐ごはんやあたたかな土佐っ子たちから元気をたっぷりもらえた春の高知旅。ぜひまた足を運びたい。
