高知の食は、つくる人が熱々。人熱々料理

「バッフォーネ」のシェフは、 親しき仲にも礼儀あり。

マナーの悪いお客さんにはしっかりと注意するので全体的に客層が良い。オーナーとは20年来の付き合いなので、先日飛び込みでお店に入ろうとすると「予約してないから満席で無理だよ〜」と、叱られました。一見だろうが常連だろうが、分け隔てなく接するオーナーが熱い!

常連さん

春野町の農家さんと契約したバジルを使用し、注文がはいってからつくる、こだわりのジェノベーゼが美味しすぎるっ!

旅行客の方

「Baffone」に来たら必ずジェノベーゼを食べるという方もいるので、新鮮なバジルを一年中きらさないように生産しています。

常連さん

高知市の繁華街である帯屋町商店街と、日曜市が開催される追手筋の間の路地にお店を構える1996年創業のバール「Baffone」。オーナーはお店と料理に誇りを持った熱い人で、店舗の雰囲気や客層が良く、料理へのこだわりもハンパじゃないらしい!
噂のジェノベーゼは、検索エンジンで“日本一のジェノベーゼ”と入力すると一番上に店名があがるほど美味しいと評判で、様々なメディアにも取り上げられているそうだ。これはぜひ食べに行ってみなければ!

青野 摩周さん
常連さんから「ましゅーさん」と親しみを込めて呼ばれている「Baffone」のオーナー。トレードマークの短パンは、暑がりなので履いているそうだ。オーナーのファッションコーディネートやお店の雰囲気づくりは奥様が担当!
聞き手:池田
高知出身。取材経験のない、戦闘力ゼロのアラサー。好きなものはグミ。

──まずは取材前のご挨拶。オーナーは熱い人みたいだから気を引き締めなければ!

池田

こんにちはー(ドキドキ…)

オーナー

こんにちは、取材の方?

池田

はい!本日はよろしくお願いします!

オーナー

えーと…あんまり企画内容分かってないですが、なんかこのお店の噂があるとか?

池田

そっそうなんです!
実は常連さんの一人が先日飛び込みでお店に入ろうとしたら「予約してないから無理よ!」と、叱られたそうで…(なぜこのエピソードを最初に言ったのだろう…)

オーナー

そうですねぇ、忙しい時は大統領が来ようが首相が来ようが、予約してない人には待ってもらいます。

池田

だ、大統領が来ても!?

オーナー

えぇ。予約してくださった方や、いま座っているお客様ファーストなので!

──オーナーはお店と料理に誇りを持った熱い人と聞いたのですが、こだわりは?

オーナー

このお店のコンセプトは“土佐の小さなヨーロッパ”なので、できる限り本場のバールを再現したところですかねぇ。

池田

なるほど。確かにこのお店に入るとまるでヨーロッパにいる気分になります。

オーナー

ただ、オープンした26年前は日本にはほとんどバールがなくて、“タバスコ問答”や“お水問答”とかありました。

池田

なんですか “タバスコ問答”って!?

オーナー

当時ピザと言えばアメリカのミックスピザが有名で、ピザとタバスコをセットで出している飲食店が多かったんですよ。ただ、イタリアのピッツァにタバスコなんてかけませんから、「タバスコないの?」とか「タバスコちょうだい」と言われても、「うちはピッツァなのでタバスコはかけません」って断っていました。

池田

確かに、マルゲリータにタバスコって邪道かも…。
(でも正直タバスコかけてるからあんまり深掘りせんとこ…)
“お水問答”とはどういうことなんですか?

オーナー

本場のバールだとお水は注文しないと出てこないので、このお店もそうしています。「なんでお水がでてこないの?」と聞かれることも多いですが、本場に忠実でいたいという想いがあり、現在でも注文がなければお水は出していません。

池田

ほぉぅ。なぜそこまで忠実でありたいと思うのですか?

オーナー

ヨーロッパの文化を復興・発展させたルネサンスの背景には、思想家や研究科が集い語らったバールがあったと思います。僕もそんなお店を目指したい。人が集まり、人と人が繋がれる場所を高知に再現したかったんです。

池田

おおお!素敵なお話です!(かっこいいにゃあ…)

──本題である“日本一美味しいジェノベーゼ”の話へ。

池田

「Baffone」には“日本一美味しいジェノベーゼ”があると聞きました!

オーナー

「ジェノバ風リングイネ」ですね!有名な雑誌で“日本一美味しいジェノベーゼ”と、取りあげていただいてから広まったのだと思います。

池田

おおおお!ズバリ美味しさの秘密は?

オーナー

バジルですね!うちでは、春野町にある「ファーム・ベジコ」さんのバジルを使っています。色と香りが素晴らしいんですよねー。って話していたら、来ました!

池田

えっ?

ファーム・ベジコ

こんばんはー!ファーム・ベジコでーす。

池田

なんという偶然っ!(やらせだと思われるレベル!)

ファーム・ベジコ

あら、取材ですか?

池田

はい!いまちょうど、「ジェノバ風リングイネ」の美味しさの秘密はバジルだとお伺いしたところで、もしよければ栽培への工夫とかを教えて欲しいです!

ファーム・ベジコ

そうですねぇ、夏は強い日差しに当たると葉が硬くなって、えぐみが出てしまうので常に気をつけています。冬はハウス内を暖かく保つように温度管理を徹底して、元気なバジルを育てています。あと、鮮度も大切ですね。これもさっき摘んだばかりですよ!

(辺り一帯にバジルの香りが広がる…。)

池田

わぁぁ。ビニール袋に入っているのに爽やかな香りが!色もすごくキレイですね。

オーナー

このフレッシュさを最大限に生かすために、「ジェノバ風リングイネ」はオーダーを受けてからつくっています。ソースを作り置きしている店舗も多いですが、香りや色が悪くなるので、これは譲れないこだわりですね。

池田

摘みたて、作りたてが美味しさの秘訣だということですね!

ファーム・ベジコ

後味も爽やかなので、飲み会の締めはラーメンやお茶漬けじゃなくて、「ジェノバ風リングイネ」を食べに来る人も多いみたいですよ。

池田

飲み会の締めに!(なんかオシャレだ…今度わたしもそぉしよう)

ファーム・ベジコ

そしたら私はこのへんで~。

池田

あっ、ありがとうございました!

ファーム・ベジコ

いっぱい宣伝してくださいね~。

池田

が、頑張ります!

オーナー

せっかくだから「ジェノバ風リングイネ」つくりましょーか?

池田

えっいいんですか?(やったぁぁぁぁぁぁぁぁ)

──「ジェノバ風リングイネ」をつくっていただきながら取材を続行

池田

わぁぁ、早速摘みたてのバジルを使うんですね!それは、ミキサーですか?小さい調理器具ですねぇ。

オーナー

うちでは、ミルサーを使っています。一気に3人前までしかつくれませんが、ミキサーやフードプロセッサーより、滑らかに仕上がってキレイに乳化するんです。ほらっ!

池田

おおおお!まるで抹茶のようです。ソースづくりでのポイントはありますか?

オーナー

にんにく、チーズ、塩、ブラックペッパーなどのほかに、松の実を加えるところですかねぇ。かなり高い食材なので、使用していない店舗も多いと思いますが、ここも譲れないポイントですね。

──お料理を待っていると、なんともいい香りがフワリ…。

オーナー

はいっ、できあがりました。

池田

わぁぁ!ありがとうございます。では早速いただきまーす!

(▲ジェノバ風リングイネ)
池田

香りがものすごく良い!私の口と鼻が喜んでいます!あぁぁぁ言葉にならないほど美味しい!

オーナー

ありがとうございます。バジルが苦手な人の中には、「ここのジェノベーゼなら食べられる」という方もいます。

池田

なんかわかる気がします!今までのジェノベーゼの概念を覆されたというか!これは、日本一美味しいと言われているのも納得です!

池田

それにしても、お店にはオーナーお一人ですか?

オーナー

金曜と土曜はスタッフがいますが、それ以外はだいたい仕込み・調理・食器洗い・ドリンクなどを全て一人でやっています。

池田

えええええ!?仕事量ハンパないですね!

オーナー

忙しいことが好きなんですよ。ただ、お客さまをお待たせしないように時短のための工夫もしています。

池田

ほうほう。どんな工夫ですか?

──どんっ(突如としてタブレット型端末がテーブルに登場!)

オーナー

僕って理系なんですよ。

池田

そっそうなんですか…。(えっ?一体なにが始まるの?)

オーナー

魚って1匹ずつグラムが違うでしょ?例えばエスカベーチェという料理なら、メインの食材である魚のグラムを入力すると、そのグラムに対して、ほかの食材である玉ねぎ、にんじん、セロリ、お酢、白ワイン、塩などの量がでるようなエクセルのテンプレートを全メニューつくっているんですよ。

池田

こんなガリレオみたいな料理人さん見たことありません。(もうすでに自分でやれと言われるとできない…)

オーナー

お客さまからも「変人」と言われたことがあります(笑)とはいえ、農産物っていうのはその時の気候などによって味が変わりますから、最終的な調整は長年の勘なんですけどね。

池田

“熱い人”から“変人”というイメージに変わりました…!(笑)

オーナー

あはは!普通より変人と言われる方が嬉しいです。

池田

くぅ…。ましゅーさん、つくづくかっこいい変人だ!!

- 終 -

熱冷まし(取材後のつぶやき)

実は取材時間3時間!もっとご紹介したかったのですが、文字数が足りないので一部をご紹介。

★ましゅーさん。無口な方だと思っていましたが、お話ししてみると気さくな方で、お話上手!これなら1人で飲みに行っても楽しく過ごせそうだなと思いました。

★実はタブレット型端末のくだりの後に、電卓の便利な機能なども教えていただきました。これは、本当に良い勉強になりますよ!

★日本バーテンダー協会が開催しているバーテンダーの全国大会に4度出場経験のあるオーナー。四国大会では2度も優勝したそうで、全国のバーテンダーとも交流が深いそうです。次はカクテルを飲んでみたい!

★オーナーは常連さんの好みや誕生日などをスマートフォンにメモしているそうで、前回来店された際のメニューとは違う料理をご提案したりしているそうです。マメですね。もちろん血液型はA型だそうです。

\そんな高知の熱々な料理人に会いに来て欲しい/

Bar Baffone
住 所 高知県高知市帯屋町
1-2-10 MORITAビル1階GoogleMap
電 話 088-822-3884
営業時間 19:00~24:00(L.O.23:00)
定休日 水曜、第2火曜
駐車場 無(近隣にコインパーキングあり)

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