高知の食は、つくる人が熱々。人熱々料理

「萩の茶屋」の女将さんたちは、 すべてを暗記、そろばん精算。

レジがあるのに、お会計は懐かしのそろばん計算。そのスピードと正確さに驚かされます。

常連さん

1・2階の各席で何を注文されたのかを全て暗記しているのが凄すぎる。ミスに気付いたら、スタッフを集めて瞬時に解決させて、誰を責めるわけでもなく、業務を続行させるカッコ良さを堪能したくて、いつもレジの近くで料理をいただいています。

常連さん

貝焼きと焼肉が1度に味わえるのが贅沢!しかも、どちらともすごく美味しい!ほかにも、ご飯物や麺類、中華に一品料理など、メニューがいっぱいありすぎて、毎回注文に悩む。

常連さん

高知市の隣・土佐市の南に位置する宇佐町には、新鮮な貝焼きと焼肉を求めて、県内外から多くのお客さんが訪れる「萩の茶屋」があります。実はこちら、大人気ゆえ満席になることもあるのに、レジを使わず、そろばんでお会計をするのだとか!
しかも、オーダーをとる時には端末を使わず、暗記かメモというアナログな手法!
令和の時代に、古き良き昭和の時代を感じてみたくなった筆者は、さっそく「萩の茶屋」へと向かった。

望岡 美智代さん
「萩の茶屋」の創業者の娘で、現在は姉と2人で女将を務めている。気さくで明るい接客が魅力で、そろばんを使ったお会計は名物となっている。
聞き手:畔元
高知県在住のフリーライター。横長の高知を西へ東へ駆け巡っている。高知の大自然とお酒好き!

──まずは取材前のご挨拶。この店内までのアプローチたまらなく好き~!

畔元

わぁぁ貝がいっぱい!テンションあがる〜♪(店内入り口のいけすを覗き込む)

女将さん

いらっしゃいませー。何名さまですか?

畔元

あっえっと、私たち取材でお伺いさせていただいた…。

女将さん

あー!どうぞどうぞ、こちらの席へ。(奥の席に案内していただく)

畔元

ありがとうございます。先日お電話でも説明させていただいたんですが、いま高知県の食や人にまつわるエピソードを調べていまして。こちらでは、お会計時にそろばんで計算しているとか?

女将さん

そうやねー。もぉずっとそろばんでやってきたから、そのほうが慣れちゅう。

畔元

実際にそろばんを使っているところを見せていただきたいのですが!

女将さん

えーなんかそうやって注目されたら恥ずかしいけど、ちょっとだけなら(笑)

──店内入り口近くにある、レジカウンターへ移動。

畔元

あれ?レジがあるんですね!これでは計算しないんですか?

女将さん

せんねー。レジで計算したら間違えるから。

畔元

えっ?レジで計算する方が間違えるんですか?

女将さん

そう。打ち間違えてしまうがよ。

畔元

へー。(そろばんの方が間違えてしまいそうなのに…。)

女将さん

レジは、そろばんで計算した合計金額を打って、もらったお金を入れるだけ(笑)

畔元

なるほど。(お金を保管するためのレジなのか…。)

女将さん

そろばんはこれ!昔からずっと使いゆうやつ。

畔元

おおおおお!これがウワサのそろばん!!年季が入っていますねー。

女将さん

試しに今ある伝票を計算してみましょうか?

畔元

ぜひ、お願いします。

そろばんを弾く音(パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ)

畔元

すごーい!10品以上もあるのに一瞬…。

女将さん

ここで働きゆう姪っ子は、電卓がすごいで!ちょっとやってみせてあげてー!

電卓を打つ音(パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ)

畔元

おおおお!まるでピアノを弾いているみたいですね!でも、そろばんの女将さんの方が計算が速かったような…。

女将さん

そうやろ。さっきは緊張してたからちょっと遅かったけど、普段ならもっと速いで!でも、団体さんとかになったら、伝票が2、3枚になるでしょ。そしたらもぉ大変っ!

畔元

家族や友達同士で来るお客さんも多いから大変でしょうね。

女将さん

そんな時はね、先に1枚目と2枚目の合計を出しとくんです。それで、最後に間違いがないか、もう一回全部の計算をするんですよ。メニューも多いし、子どもたち用に駄菓子も置いてあるから伝票があっという間に増えるんです。ほらっ!

指さす方向を見ると駄菓子コーナーが!(思った以上に多い。)

畔元

ちなみに、メニューってどのくらいあるんですか?

女将さん

どのくらいやろ?メニュー表見てみる?

メニュー表登場

女将さん

この裏面は、うどん、お蕎麦、おつまみ、ご飯物、ドリンクのメニューになっちゅうよ。

畔元

す、すごい…。これ全部把握しているんですか?(ざっと100種類ほどはある…。)

女将さん

もちろん、スタッフみんな把握しちゅうで。

畔元

そういえば、スタッフ同士の連携もすごいという噂を耳にしたのですが。

女将さん

長く働いてくれているスタッフが多いからねー。もぉ家族みたいになっちゅう。

畔元

素敵ですね。1・2階席があるのに各席の注文を間違えたりしないんですか?

女将さん

うちは注文をとる機械を置いてないから口頭で伝えるか、メモをするがよ。口頭なら誰か覚えてて、「間違えちゅうで」って言うてくれるし、メモは後で確認できるから、お客さんに迷惑をかけることはあんまりないねー。

畔元

なるほど。アナログだからこそ、スタッフ同士のやりとりが増えて、結果的に仲が深まるんですね。

スタッフさんたちをパシャリ!

畔元

スタッフさんたち以外に、お店の自慢ってありますか?

女将さん

そりゃーもう、貝焼きと焼肉でしょ!

畔元

あっそろばんの計算スピードに圧倒されて、肝心なお料理のことを忘れてました(笑)

女将さん

うちのお肉は美味しいで。創業当時から九州の厳選した牛肉を仕入れてるから。

畔元

美味しそうですね。(ジュルリ…。)

女将さん

せっかく高知市から来てるんだから「カルビ定食」食べていって。

畔元

えっいいんですか?(やったー!)

──人気の「カルビ定食」をいただく!

畔元

お肉がとても美しい!しかも、副菜も豊富!なんて贅沢なんだ!

女将さん

お肉も美味しいけどタレも美味しいで。タレは父が考案した秘伝のタレで、「販売して欲しい」って声もあったから、商品化もしちゅうがよ。ゆっくり食べていってね〜。

畔元

お肉が柔らかくてジューシー。ほんのり甘めでコクのあるタレとの相性も抜群!これはファンが多いのもうなずける。貝焼きも食べたいけど、ボリューム満点でお腹いっぱい。今度は貝焼きと焼肉の両方を食べられるように、胃を鍛えるぞ!

- 終 -

熱冷まし(取材後のつぶやき)

取材中もスタッフたちの笑い声が聞こえてくるなど、終始和やかな雰囲気でした。スタッフさんや貝焼きについてもご紹介したかったので、一部をご紹介。

★スタッフさんの中には、創業当時頃から働いている80歳近い方もいるんだとか!80歳近いとは思えないほど元気で俊敏らしいので、一度お会いしたいものだ。

★貝焼きでは、新鮮な国産のアサリ、長太郎貝、サザエ、ハマグリ、大貝、ナガレコなどが楽しめます。こちらの付けダレももちろん、「萩の茶屋」オリジナル。

★貝はグラム計算に加え、消費税もプラスするため、この時は女将さんも電卓を使うんだとか。そろばんと電卓と駆使している姿も見てみたい…。

\そんな高知の熱々な料理人に会いに来て欲しい/

萩の茶屋
住 所 高知県土佐市宇佐町宇佐2739GoogleMap
電 話 088-856-1908
営業時間 11:00〜21:30(L.O.20:30)
定休日 水曜、第2火曜
駐車場 25台

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