高知の食は、つくる人が熱々。人熱々料理

四万十市「なかひら」は、誰でも顔なじみ対応。 かつ最強の子宝パワースポット?!

「安い、早い、美味い」が揃っているのはもちろん、なにより店主や奥さんの人柄がえいき通いゆうよ。

常連さん

なかひらさんには、その日の最後のセリで落とした「ビリガツオ」など新鮮な魚を卸しています。

旅行客の方

お店の雰囲気が良く、月1~2回はかならず通っています。
今日もカウンターでたまたま知り合った人と喋っています!

常連さん

噂のお店は、高知市から西へ車で2時間弱の四万十市中村にある居酒屋「なかひら」。高知の小京都と呼ばれる中村の中心地、天神橋商店街のアーケード内に店を構える。
いくら高知の人が温かいと言えども、やはり初見の店は初見なりのもの。しかし、どうやら「顔なじみでなくても顔なじみのような対応!」のよう。しかも、夫婦2人で訪れた際には「子宝に恵まれるから!」と言って、大将が木彫りのヘビを触らせてくれたらしい。うーん、気になることが多すぎる!!・・・真相を確かめに行ってみた!

中平 富士夫さん
「なかひら」の店主。ふだんは奥様やスタッフさんと合わせて経営。
もともと川漁師で鮎やツガニなどを獲っていたらしい。
見た目からも分かるほど、やさしく穏やかで幡多弁がぴったり!
聞き手:池田
高知出身。取材経験のない、戦闘力ゼロのアラサー。好きなものはグミ。

──まずは電話で取材交渉だ!

大将

はい~なかひらです~。

池田

あ、すみません。
いま、高知県の観光キャンペーンで『高知の食は、つくる人が熱い。人熱々料理』というキャッチコピーでやってまして(中略)取材したいのですが・・・。

大将

う~ん。

池田

だ、大丈夫でしょうか・・・?(あまり趣旨を分かっていなさそうだ・・・)

大将

かまんよ~。

池田

あらっ、ありがとうございます?!
では、営業中は忙しいと思うので…営業前にしましょうか?

大将

いや、営業中が良いよ~。お姉ちゃんはどこから来る?

池田

・・・へ??・・・こ、高知市です!

大将

そうか、今の時期は美味しいもんがいっぱいやけん、準備しとくね~!
特にツガニ。ツガニはいいぞ~!うん、ありがとう!じゃあね~!

(ガチャン:電話が切れる)

池田

お、おう・・・(めっちゃ良い人じゃん・・・!)

──当日、取材が始まる開店前30分に取材陣は、お店の前で集合。

池田

ん?店の前が騒がしいな・・・

大将

○△×・・・それは・・・~~~。

池田

あ、取材メンバーが大将に絡まれてる。
※その光景を見て爆笑していたため、写真を撮り忘れました。

大将

おぅ、お姉ちゃんもよく来たね~今日はよろしくね~。

池田

はい!今日はよろしくお願いします!!

──いざ、噂の「ヘビの置物」を探すべく店内へ。

池田

わ~!すごい!(テンションぶち上げ)

池田

雰囲気最高だわ~!って・・・えぇ?!

(開店30分前なのに、すでにできあがっているお客さんを発見)

大将

この人たちはもうできあがってるよ~。
あと、お姉ちゃん達はカウンター横のところね~。

池田

はい~って・・・えぇ?!(本日2回目)

(豪華なお食事が、ずら~~~~~~~り!)
大将

あ、(仕入れ用の)ビリガツオが来た~。
写真撮りたいひとは一緒に来てね~。

池田

はぁい。
(・・・っていかんいかん、居心地が良すぎてあやうく家族に返事をするようにしていた・・・)

(店の入り口へ行くと・・・)

(▲仕入れた鰹は土佐清水市で夕方上がったばかり!大将が見せびらかすために左右に動かしているのかと思いきや・・・
まだ生きていた!活きが最強によかっただけでした。)
(▲「ヨコ(クロマグロの子)」も勧められ、すぐ買う大将。
こんなに大きいマグロの子よ~と説明してくれる卸さん。いっぱい取材しちゃってや~とサービス精神旺盛!)
大将

卸さん、ありがとう~。いまからすぐさばくね。

池田

(何かに入れるとかではなく、そのまま、持って行くスタイルね。)

大将

(常連さんから)はやくさばけって言われたのでさっそく今からさばくよ~。撮りたい人こっち来てね~。

(▲優しい口調で説明しつつ、手際はしっかりな大将。力仕事。)
(▲これがビリ鰹の証拠の柔らかさ。この地方の言葉で”ビヤビヤ”という。)
(▲お分かりいただけるだろうか…
高知市でもなかなかお目にかかれないこの鰹の柔らかさ。そして写真奥にはビール瓶とコップ…包み隠さねえスタイル!
※ただし、撮影日は前日飲み過ぎたらしく禁酒日のようでした。)
(▲手前はクロマグロの子”ヨコ”。奥がビリ鰹。
わさび、高知らしい生にんにくも添えられている。)
池田

わぁ・・・本当に美味しそうですね・・・!
高知市でもなかなかこんな新鮮なものはお目にかかれません・・・。

大将

そうそう~。
ビリ鰹の「ビリ」は、この地方の言葉で「獲れたて」、つまり死後硬直前ってこと。
今日のは土佐清水市(四万十市よりさらに西部)で15時ごろに揚がったやつよ~。

池田

いまは17時半だから、まだ3時間も経ってないですね!
これは四万十市じゃないと、ぜったい無理な提供スピードだ・・・。

大将

よ~し。お姉ちゃんたちのもできたよ~。はよ食べ~!

どんっ!

(▲四万十川の鮎の姿寿司)

どどんっ!!

(▲四万十川の鮎の塩焼き、天然ウナギのかば焼き)

どどんがどんっ!

(▲刺身盛り合わせ)
(奥:ビリ鰹/手前:クロマグロの子)

あ~ヨイショッ!!

(▲ビリ鰹、厚さは薄くないのに透けている…!)
池田

大将・・・すごいですね。
高知県民の自分ですら、高知市では食べたことがないくらい鰹がモチモチしていて、美味しいです。
しかも新鮮すぎて、お箸が透けています(半泣)

大将

うん~そうやね~(聞いていない)。
天然鮎の塩焼きはね~こうやって骨と身をばらすんよ~。

池田

なにからなにまでありがとうございます・・・。美味しいし感動です。
(大将聞いてないけど)ありがてぇ・・・ありがてぇよぉ・・・。

──我を取り戻し、大将を休憩時間に捕まえ、やっと本題へ。

池田

大将!休憩中にすみません!
「子宝に恵まれるから」って夫婦のお客さんに木彫りの蛇を触らせたという面白い噂を聞きました。
店内で見つけられなかったのですが、ひょっとしてデマでしょうか?

大将

ふ~ん。ちょっと待ちよって~。(店内へ戻る)

池田

理科の実験室のホルマリン漬けみたいなやつだったらどうしよう・・・

(ガラガラ・・・:店の引き戸が開く音)

大将

お姉ちゃん、これのことじゃない~?

(取材陣一同 爆笑)

池田

大将・・・どう見てもそれです!!
これって想像してたやつ(とぐろを巻いたヘビ)と違うのですが・・・

大将

これね~山に行ったときに見つけて、自分で削って作ったんよ。
もともとの木が、絡み合っているような形だったからそれをいかしてオスとメスのヘビが絡み合っているかたちにしたよ~。

池田

え?!自分で作った?
すごい売り物みたいにキレイに加工されてますね!
ちょっと触らせてください~!こんなにツルツル、ピカピカなの――

大将

触ったらいかん。 あと、これは無加工でこんな綺麗なのよ~。

池田

た、大将?

大将

子が出来るぞ。

池田

・・・は、はい?そんなわけ――

大将

いや~、今まで実績は十分にある。
夫婦で来られたり、「子ができんで悩んでる」って相談されたらこのヘビの置物を夫婦に一緒に触らせてあげるんよ~。

池田

ほえ~すごいですね!

大将

いままで教えてくれた人達だけでも5組はおる
18年くらい子どもができずに悩んでいた人達も居たけどヘビの置物を触ったあと、双子が生まれた!!って教えてもらったときは嬉しかったな~。

池田

それは嬉しいですね~!

大将

うん、嬉しい!毎年のようにハガキもくれて子どもの成長を見守ってるよ~。
まぁ、単に置物を触らせるだけじゃなく1つ条件つきなんやけどね~
(※条件については、大将に会いに行って確かめてください。)

池田

噂は本当だったんですね。しかも噂以上にご利益のあるお話!

大将

毎日、おちょこいっぱいにお酒を入れてオスとメスの両方のあたまにお酒をつけて、お願いしてるからね。

池田

なんてありがたいこと!そりゃあもう大将の毎日のお祈りのおかげですね・・・
そのうち、子宝パワーが強くなって神社みたいになりそうですね。

大将

それも面白いね~。今回は取材ありがとう。お姉ちゃんもまた来てよ~。

池田

はい、家族にもぜひ食べて欲しい味なので!ぜひ!
・・・にしてもこのヘビの置物、本当に無加工でこんなに綺麗―――

大将

触ったら、子が出来るぞ。

- 終 -

熱冷まし(取材後のつぶやき)

毎回、文字数が足りません。今回もつっこみどころ満載でした。

★まず、常連さん。開店前にすでに鎮座しておられました。
取材陣を発見すると、「どこから来た?」「仕事は?」と会話がはずむはずむ!
大将がお忙しいときは、取材陣の席に来てツガニの食べ方をあれやこれやと教えてくれました。

★営業を開始すると、常連さんや観光客でお店はいっぱいに。
高知市のひろめ市場とは違った距離感で、はじめての方でも安心して楽しむことができあれ?実家だったっけ?と錯覚するような、あたたかい気持ちになります。

★そんな雰囲気をつくりだす、大将をはじめとする「なかひら」の皆さん。
愛媛に近い幡多地域特有の、やわらか~い幡多弁で大将に比べると物静かな奥様、スタッフさんも、こちらの質問に嫌がらず答えてくださったりお客さんの履き物を(お客さんが気づかないように)出したりしまったり・・・。
控えめな優しさ、心配りがいっぱいの空間でした。

お忙しいところ、快く取材を受けていただき、本当にありがとうございました!

\そんな高知の熱々な料理人に会いに来て欲しい/

居酒屋 なかひら
住 所 高知県四万十市中村天神橋34GoogleMap
電 話 0880-34-4077
営業時間 17:30~23:00
定休日 水曜日
駐車場 無(天神橋商店街の駐車場は有)

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