高知の食は、つくる人が熱々。人熱々料理

「龍馬屋」は、カツオの美味しさを 求めすぎて機械を開発!?

「カツオは切ってみて納得できなければ、客に出せない!」「良いものが無いとお店を開けられない」と、話す大将の言葉から食材に対する熱い想いが伝わってくる!

常連さん

海鮮は鮮度だけではなく熟成が大事というポリシーを持っている。

常連さん

食材そのものが重要視される海鮮料理全般が美味い。県外在住のリピーターも多く、土佐弁を筆頭に様々な方言が飛び交うことも!

常連さん

高知市きっての繁華街・帯屋町と追手筋の間にある「海鮮居酒屋 龍馬屋」。魚にうるさい高知県民も思わず唸る海鮮料理が人気の同店に「とにかく”魚”に対する想いが熱い店主がいる」という噂を聞きつけ、早速取材に向かった。

宮尾 知明さん
昭和26年生まれ、漁師町・土佐市宇佐町出身。「龍馬屋」で腕を振るう料理人であり、創業200年を超える鮮魚店の7代目大将、高知県保育所保護者会連合最高顧問、トランペット奏者、発明家、指揮者…と、紹介しきれないほど、様々な経歴をもつ。豊富な知識とヒラメキを生かして、幅広い分野で活躍中!
聞き手:森田
土佐市宇佐町出身。好きなものは、ビールと餃子。

──まずは、電話で取材交渉!

宮尾さん

龍馬屋です~

森田

取材協力のお願いでご連絡したのですが、いまお電話構いませんか?

宮尾さん

今から仕込みやきね~、明日もう少し早い時間にかけてもらってかまん?

森田

忙しい時にすみません~!!!また明日掛け直しますね!

宮尾さん

はいよ〜!ありがとう~!

──翌日、たまたま帯屋町を歩いていると…。

森田

(ここが、龍馬屋さんか〜取材楽しみだな…。ってあら!大将がいる!)
す、すみません!龍馬屋さんの大将でしょうか?

宮尾さん

おお!そうで!(と、言いながらなぜか逃げる店主)

森田

あの、昨日、取材協力のお願いで連絡させてもらったものです~!(と、言いながら追うスタッフ)

(ほんの数メートル、ミニ鬼ごっこをしました)

森田

(ゼェ、ゼェ…)あ、改めて、取材のお願いなのですが・・実は、「龍馬屋」の大将が魚に対してめちゃめちゃ熱いという噂を聞いて、その真意を確かめ…

宮尾さん

あっちあちで!!!

森田

(すっごい食い気味!)

宮尾さん

取材はかまんよ!いつくる?早いほうがいいろ?

森田

ありがとうございます~!

──取材当日、ドキドキしながらお店へ!

森田

こんにちは~。今日はよろしくお願いします!

宮尾さん

こちらこそ~! お嬢ちゃんには昨日あげたけど、お兄ちゃんにも一枚やるわ!

(スッとカメラマンに差し出す)

宮尾さん

この金の名刺はね、自動的サービス名刺やきね!お客さんがこれを見せてくれたら、色によって私が勝手にサービスしてる(笑)

森田

(お店の照明の下で見ると、さらにキンキラ!)

宮尾さん

やっぱりサービスもらったら、嬉しいやか! 喜んでる姿をみると私も嬉しくなるがよ。

(ユニークな大将に緊張の糸が緩んだのは、言うまでもない)

──噂で「龍馬屋」さんは、鮮度だけじゃなくて熟成が大事というポリシーを持っていると聞きました!

宮尾さん

魚というのは、ただ新しければえいというものじゃない。1kgぐらいまでの魚は、その日釣って、その日食べて、明くる日は焼く、さらに次の日は煮るとかになるけど、魚体が3kg以上の大きさになってくると“熟成”が非常に大事ぜよ。

森田

そうなんですね…!(魚のことになると、急に真剣な表情になる大将かっこいい!)

宮尾さん

釣ったばっかりだと、旨味成分が出て来にくい。ちょっと熟成させると、鮮度と旨味のバランスが良くなってきて、身も柔らかくなって美味しくなる。これが魚の目利きというものよ。

森田

必ずしも鮮度が一番というわけではないんですね。それから、もう一つ噂があって、カツオを切ってみて納得できなければーー

宮尾さん

バケツにポンよ!

森田

そもそも、いい魚がなければ、お店を開けないという噂も聞きましたが、これってホンーー

宮尾さん

ホントホント! その通り! えいと思って仕入れても、切っていかんかったら、暖簾も入れて電気も消す。

宮尾さん

今年はあんまりないけど、例年やったら、10月頃に脂がのった一番えいカツオを捌いて、マイナス65度で瞬間凍結させておいておくがよ。高知県は、年中県外から観光客が来てくれるのに、カツオがなかったらいかんろ~。

森田

確かに、カツオを筆頭に高知の食を楽しみに旅行に来られる方が多いですよね!

宮尾さん

そうそう! ほんで脂ののった美味いカツオを冷凍して、いつでも出せるようにしてる。けんど、解凍するのにドリップが出てきてね… これが出ると美味しくなくなる。だから、なるだけ出ないようにね、解凍機を開発したがよ!

──か、開発ですか!?

宮尾さん

そう、北里研究所の白金キャンパス、相模原キャンパスと協力してね。解凍した時に、95%はドリップがない状態、かつ、身の質にしっかり弾力がある。

(こちらが、宮尾さんと学校法人北里研究所が開発した解凍機)

森田

(思ったより小さい…!)

宮尾さん

お店に置けるくらいの電子レンジサイズながよ。普通は流水で解凍するけんど、これは一切、水にふれず、振動と電子で解凍していく。この振動数が特許を取っていて、世界の人が心地よく耳にする振動数にしたら、ドンピシャ! ドリップがほとんどない状態で解凍ができるようになって、美味しいカツオが提供できる。

森田

………大将、すごすぎます!!! 研究はいつからスタートしたんですか?

宮尾さん

30年前くらいやね~。高知県はあまりにも鮮魚に恵まれすぎて、食材の冷凍に対する技術も知識もなかった。生の魚がたっくさんあるき、困らんかったがよ。けど、いつしか漁獲量が足りんなって、困ってきた。だから、これからの時代は冷凍と解凍が必要だと考えて、取り掛かったがよ。それに、この解凍機によって、高知県に大きな工場ができたら、雇用の確保にも繋がる。経済的に困っている人や、ひとりで子どもを育てている親御さんたちの手助けになる場所を作るぜよ!

森田

カツオの未来はもちろん、高知の未来までも背負って奮闘し続ける宮尾さんの生き様にシビれる…ぜよ!!!

- 終 -

熱冷まし(取材後のつぶやき)

お話好きで陽気な大将ですが、実はとっても理系で博学!思わず引き込まれるような話し方で、ついつい長居しちゃいました。こちらでは、紹介しきれなかったお話を一部ご紹介!

★金の名刺以外にも、銀やパールの名刺もあるそうですよ!

★現在、高知市追手筋にある「龍馬屋」ですが、創業時から15年は桟橋、その後、夜須町で15年営業し、今の場所で22年目になるそうです。どこにいっても愛されるのは、大将の人柄あってこそ!

★大将が1人で営業していた時代もあったそう。その時は、お客さんがお運びさんになり、ドリンクもセルフサービス。大将いわく、「宴会も勝手にシンドバッド」だそうです。

★解凍機以外にも、宮尾さんの発明品はたくさん! 紹介しきれなかった発明品に関しては、ぜひお店で聞いてみてください。あなたもきっと「宮尾ワールド」の虜!

\そんな高知の熱々な料理人に会いに来て欲しい/

海鮮居酒屋 龍馬屋
住 所 高知県高知市追手筋1-9-31GoogleMap
電 話 088-802-3858
営業時間 18:00~LAST ※仕入れ状況により早めに閉店・休業する場合あり
定休日 日曜~火曜
駐車場 無し

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