高知の食は、つくる人が熱々。人熱々料理

「ゆうすい」の大将と女将は、正直すぎる。

本日の魚が鰹の刺身定食を頼んで待っていると、料理人が出てきて、神妙な顔で、「先ほどかつおを開いたら、良くなかったので別の魚に変えさせていただきます、すみません」と謝罪にやってきました。出てきた定食の見た目が美しい上に、とてもおいしくて、こだわりのある料理人だなあと感心しました。お店の誠実さと雰囲気が気に入って、近くを通ると食べに行っています。ほかのものも食べてみたいけど、初めて行ったときの刺身定食がよかったので、そればっかり頼んでしまいます。

常連さん

清流・安田川が町の真ん中を流れ、自然の恵みに溢れた「安田町」にお店を構える「お食事処 ゆうすい」。安田川で獲れた天然鮎をはじめ、できる限り町内の食材を使用し、素材だけではなく、味、盛りつけと、全ての要素が合致した心に残る様々な料理がいただける。そんな同店に「お店の誠実さも味わえた!」という声が寄せられ、どういうことなのか真相を確かめるべく、いざ安田町へ!

西川義壽よしひささん
土佐市出身。16才の頃から日本料理の道に進み、大阪を中心に県外で修行を積み高知にUターン。食材と人に対して嘘をつくことが大嫌いな実直な性格。
内川亜裕あやさん
安芸市出身。現在の実家が安田町、祖母が馬路村出身と中芸地域は庭のようなもの。子供の頃から知っているご近所さん付き合いを大切にしている。
聞き手:川﨑
生まれも育ちも現住所も仁淀ブルーでお馴染みのいの町。
おでかけと美味しいものとハイボールが大好き!

──せっかくなら、早く行って先にゆうすい膳を食べてみよう!

川﨑

お邪魔します〜! ランチを食べようと思って、少し早めに来ちゃいました♪
「ゆうすい膳」をお願いします。

内川さん

はーい!ちょっと待っててくださいね〜!

少し待って、やって来たのがこちら!

川﨑

わぁ〜!!!!!美しい!! 少しずつ色々なものが食べられるって、女子にとってはめちゃくちゃ嬉しいポイント!

その日仕入れたオススメの刺身を2種類と、サックサクの衣をまとった季節の野菜の天ぷらがメイン。

──美味しい料理を堪能…、ここで改めて取材開始!

川﨑

「ゆうすい」さんで食事をしたお客さんから、鰹を頼んだら、店主が神妙な顔で出てきて「先ほど鰹を開いたら、良くなかったので別の魚に変えさせていただきます。すみません…」と、丁寧な謝罪をうけ、さらにその後に出てきた定食がとっても美味しかったという、エピソードを聞きました!

西川さん

そうやね、メニューにも載せているけど、カツオは開いていかんかったら出さない。代わりのものを出しています。

川﨑

確かに、メニューにも「仕入れによっては、お魚出せない日があります」と書いてありますね!やはり魚の仕入れには特にこだわりを持っているのでしょうか?

西川さん

うちは一個人から買い付けているんですよ。漁が好きな人で、いい魚が釣れた時には「こんなの揚がったよ〜!」って連絡をくれる。僕らのほうから、「いついつにこんな魚がほしい」と連絡した時も「ヨッシャ!」と言って、釣りに行ってくれたり。

内川さん

ほんっとうに釣り好きの人よね〜。とにかく大きい魚を釣りたいみたい!

川﨑

その方とはどのように知り合ったんですか?

内川さん

元はお客さんとして来ていて、実は遠い親戚筋だったような…?

西川さん

何度か来てもらって、色々話すうちに釣りの話になり、「かまんかったら店で出す魚を釣ってもらえんろうか」という話になってね。

川﨑

なるほど。釣り好きなお客さんと、仲良くなって、魚を仕入れるまでになったんですね!

──話は安田川で獲れる天然鮎へ

西川さん

鮎もそう。初めは漁協から仕入れていたけれど、女将の実家の横にプロの釣り師がおると聞いて、話をしに行ったらご快諾いただいて、そこからは年間通して仕入れるようになりました。

川﨑

へぇ〜! 人の縁ってすごい!プロの釣り師や釣り好きな人たちが美味しいお魚を提供してくれているんですね!

西川さん

いつも魚を釣ってきてもらいゆう人は、神経締めまで覚えてねぇ…色々やりだしたね。うんと、そんながが好きな人なのよ。

内川さん

「アジが欲しい」って連絡したら、エサ用のアジを分けてくれたこともあるで!

西川さん

うちで欲しいくらいの立派なアジとかサバを釣ってエサにして、それから大物を狙いに行くのよ。

川﨑

エサの調達から自分たちでやるんですね…!

西川さん

うちで提供する魚のほかに、野菜も女将のお母さんが作る野菜や、知り合いの人から分けてもらったりする。

内川さん

今も「豆作れ」って言うんで、インゲン、お菓子に使うハーブ、パセリ、ネギとかを育ててます。

西川さん

夏はゴーヤ、キュウリ、トマトとかもね。お客さんもいっしょに成長を楽しんでくれています。

──人との「繋がり」が密なお店

内川さん

繋がりってすごい大事かなと思っていて、「これ使って!」って、お客さんが自作のジャムとかも分けてくれて。
じゃあこのジャムを使って何か作れないか…とか、考えています。お客さんと何かを一緒に作る感じがすごい楽しいんですよね。お客さんも喜んでくれるし、繋がっている感じがしていいよね。

西川さん

県外から嫁に来たお客さんが実家の両親にうちの話をしてくれたみたいで、大量の野菜を送ってくれたり…

内川さん

「また送ってきたんでどうぞ〜」って、ドーンってほんとうにたくさんもらう事もあるよね!

川﨑

お客さんとの関係がすごい「密」なんですね!

内川さん

濃いですよ(笑)

西川さん

人との繋がりでやっていかんとね。高知市内から来たり、県外から毎月来てくれる人もおるよ。

川﨑

ええ!毎月ですか!?

内川さん

うん、毎月。モーニング食べて、お菓子も食べてくれて、お昼になったらランチにも来てくれて、帰る時にはテイクアウトもしてくれるがよ!

──大事にしているのは「嘘はつかない」と言うことと「愛と感謝」

西川さん

やっぱり嘘ついて料理を出したくない。実は、煮物も食材ごとに味付けとか煮込み時間を変えているんですよ。

川﨑

料亭くらい手間暇かかっていますね…!

内川さん

私もパンにしろ、お菓子にしろ、納得のいかないものは売らない!「売れんき、これもらって」って、お客さんに迫っていったこともあって、お客さんから「あんた儲ける気あるかね!」と言われたこともある(笑)

川﨑

(内川さんいいキャラ…!)最後におふたりのツーショット撮影していいですか?

内川さん

チューしちゃおか!

川﨑

めっちゃラブラブ!

内川さん

よくね、やりとりが漫才って言われる。そんな気はないのにね(笑)

川﨑

(西川さん、終始にこやか…!)じゃあ撮りますね〜!はい、チーズ♪

- 終 -

熱冷まし(取材後のつぶやき)

終始丁寧に対応してくれた西川さんと内川さん。地元のお客さん以外にも、高知市内や四万十方面、岡山県、和歌山県…、とほんとうに色々なところから「ゆうすい」さんに訪れていて、その理由の一つに人柄もある!と思いました。

★ご家族に連れられて来店した女の子とお母さんを見て、「幼児連れの外食って大変なんや!」と女将さん自身の経験を大将に熱弁。「チビちゃんが手掴みで食べられるものを作る!!」と、母親目線で、子ども用のメニューを開発したそうです。女将さん優しい!

★魚だけじゃなくて、天ぷらの上がり具合ひとつとっても、気に入らなかったら断りを入れて揚げ直すこだわり。熱い料理人魂を感じました!

★仲良し夫婦のおふたりは、毎日仕事が終わって家に帰ると「今日も一日お疲れ様でした、ありがとう!」とお互いにお礼を言い、気持ちを伝え合っているそうですよ❤︎

\そんな高知の熱々な料理人に会いに来て欲しい/

お食事処 ゆうすい
住 所 高知県安芸郡安田町大字西島40-20GoogleMap
電 話 0887-38-6675
営業時間 11:00~15:00(お弁当は3日前までの要予約、5個から受付)
定休日 金曜、土曜
駐車場 3台

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