【高知県立牧野植物園】企画展「幻の画家 山田壽雄の植物図」

山田壽雄(1882-1941)は、牧野富太郎の代表作『大日本植物志』をはじめ、集大成である『牧野日本植物図鑑』の植物図を牧野と協同で制作するなど、牧野が最も信頼を寄せた画家として知られています。
その一生を植物の精密で正確な写生図を完成することに捧げ、植物学者の指導のもと二人三脚で描くことに専念し、牧野の研究を支え、植物分類学の発展に貢献しました。
しかし、職業画家として植物学者とともに描いた山田の植物図は、論文や図鑑などで出版されることを意図したものであり、出版されるときには画家の名前が表に出ないことが多いため、これまで表舞台に出ることがありませんでした。
2024年3月、牧野文庫に所蔵される牧野が手元に置いていた植物図や、東京大学に遺されていた山田が描いた秘蔵図をまとめた『牧野富太郎が愛した画工たち 山田壽雄画集』が、ついに出版されました。
本展ではこの出版を記念して、掲載された植物図や牧野と協同で制作した図など約100点を一堂に展開し、山田の植物図の魅力をご紹介します。

【内容】
① 牧野富太郎と山田壽雄
牧野が自ら創刊に携わった植物学雑誌に掲載した「ハマジンチョウ」、渾身の作とした『大日本植物志』の植物図「オオヤマザクラ」と「モクレイシ」など、山田と協同制作した植物図は圧巻。数々の共作は、牧野が山田に寄せた信頼の表れといえるでしょう。

② 作品は絵ではなく図である
数多くの植物を観察して本質を見抜き、自然の芸術をそのまま巧妙に再現する才能を備えた山田は、日本で唯一のサイエンティフィック・アーティスト(Scientific artist)とよばれました。かたくなに芸術づくことを避けて、植物の実態に迫ることに専念した山田の秘蔵図を一挙公開します。

③ 巧みな彩色
 山田の彩色図の特徴は、ごく短いラインで面を塗り込み、僅かな隙もないほど密に色をつけることであるとされています。植物のもつ本来の色を、芸術的絵画とは異にしていかにつけて科学的な植物図となすかを極めていきました。

④ 近代植物分類学と植物図の発展
江戸時代の本草学や博物学から近代植物分類学へ。その軌跡と植物図の歴史を、牧野文庫に所蔵される図譜や西洋の植物画など貴重な資料から紐解きます。
名称
【高知県立牧野植物園】企画展「幻の画家 山田壽雄の植物図」
開催日時
2024年8月10日(土) 〜 11月24日(日) 9:00~17:00
開催場所
展示館 企画展示室・植物画ギャラリー
( 高知市 五台山4200-6 )
料金
一般730円(高校生以下無料)
お問い合わせ
高知県立牧野植物園
TEL(088)882-2601
ホームページ
https://www.makino.or.jp/event/detail.php?id=867
備考
会期中は植物園駐車場が込み合う可能性があります。ご来園の際はJR高知駅発の周遊観光バス「MY遊バス」の活用をご検討ください。
最終更新日 2024年07月03日