植物園スタッフが指南! 生きた植物図鑑「牧野植物園」を“もっと”楽しむコツ

四季折々に変化する「ありのまま」の植物を愛でる植物園

連続テレビ小説「らんまん」で注目を浴びた「牧野植物園」。 園内を散策するだけでも様々な発見や感動があるのはもちろんですが、植物園の職員さんならではの視点を借りれば牧野植物園を120%楽しめるはず!ということで、この記事では、10年近く勤める職員が勧める牧野植物園の歩き方を教えていただきました。

目次

高知県立牧野植物園とは?

「植物園を造るなら五台山がええ」──90歳を超えた牧野博士のひと言で、「高知県立牧野植物園」は博士逝去の翌年である1958年、高知市五台山に開園しました。
五台山の起伏を活かした約8ha(東京ドーム1.7個分に相当)の園地の中には、博士ゆかりの植物や園芸植物など3,000種類以上の植物が四季を彩ります。
「さすが土佐だけのことはある!と絶賛される植物園に」という牧野博士の願いを体現すべく、四国唯一の総合植物園として常に新しい魅力を発信し続けています。

園地スタッフイチ推し!牧野植物園をより楽しむポイント5選

「今回植物園の新たな一面を教えてくださるのは、入職9年目を迎えた広報課 西村さん。
園地全体を周り、見ごろの植物の調査やガイド、製薬メーカーとの薬用植物栽培研究など多岐に渡るお仕事をされています。

「咲いている花や新緑が綺麗だな〜。そう思いながら散策するのも一つの楽しみ方ですが、牧野博士の名を冠する植物園ですので、せっかくなら博士の愛した植物をどっぷり楽しむためのコツを伝授いたします!」

【その1】見ごろの植物データベースを活用しよう!

牧野植物園ではHP上で「見ごろの植物データベース」を公開しています。
データベースでは、現在の見ごろの植物の紹介のほか、それぞれの植物をタップすれば、植物園ならではの詳しい解説を花や果実の美しい写真とともに植えられている場所のマップも見ることができます。

「データベースはスマホでも閲覧することができます。
こちらは牧野博士がこよなく愛したバイカオウレンのページですが、どこに植えてあるか、解説と写真でどんな植物かがよく分かると思います。
事前に予習しておけばお連れ様に一目置かれること、間違いなしですよ!」

【その2】博士の名付けた植物を知る

「植物の近くに設置された解説ラベル。我々職員は「黒ラベル」と呼んでいますが、これには学名、和名、管理番号、解説文などが記載されています。
その中でも注目してもらいたい箇所が学名です。」

「学名は生き物につけられる世界共通の名前で、「属名」と「種小名」の二名法で表します。例えば、ビロードムラサキの学名は、Callicarpa kochiana (カリカルパ コチアナ)。属名がCallicarpa、種小名がkochianaですね。」

黒ラベルでは、それらに続いてMakinoの文字。これは学名を正式に発表した著者名を表しておりMakinoは牧野博士を指しています。
しかし、この著者名は学名を表記する際に省かれがちだそう。
「当園では、牧野博士が学名をつけた植物が一目で分かるよう、博士が学名をつけた植物の黒ラベルに限り、著者名Makinoを省略せずに表記しています。博士は生前、なんと1,500種類もの植物に学名をつけました。黒ラベルを見れば、博士が学名をつけたかものかどうかが分かるので、ぜひ注目してほしいですね。」

【その3】山の上の植物園ならではの眺望

「山頂付近にある植物園なので、見晴らしの良さは抜群です。その中でも、私のお気に入りは『こんこん山広場』の奥にある、この場所です!」

「南園と温室を見下ろすように一望できて、山の間には土佐湾も見えるんですよ。季節ごとに移り変わる植物を眺めながら、吹き抜ける風を感じられる。最高に気持ちの良い場所です。」

【その4】植物園を彩る生きた枯れ草にもご注目

「春に芽吹き、夏に葉を茂らせ、秋には果実が実り、そして冬に葉を落として春を待つ。私たち職員は、植物の美しいところだけを切り取って見ていただくのではなく、四季を通じた植物の「ありのまま」の姿を見ていただけるよう管理しています。」

「たとえば、こんこん山広場にある「オケラ」。
冬には枯れ草のように見えますが、根は生きていて、土の中には春に伸びる芽があります。茎の先端にあるのは枯れた花がらじゃなくてタネが実っています。」

「花の咲く、緑の芽吹く美しさだけでなく、四季それぞれの姿も楽しんでいただければ、それほど嬉しいことはありません。
足を止めてじっくり観察していただくと、きっと新しい発見があると思いますよ。」

【その5】活力チャージの拠点「中庭文庫」

「最後は意外と知られていない「中庭文庫」をご紹介します。
中庭文庫は牧野富太郎記念館 展示館内にあり、牧野博士と植物にまつわる本を常時250冊以上置いている休憩スペースなんですが、ここは屋内の休憩スペースで唯一飲食もできます。
お弁当やパンなどを持ち込んで召し上がっていただくことも大歓迎です!」

「広い園内ですので、歩いていると知らぬ間に疲れがたまっていることもあると思います。そんな時には、ここで腹ごしらえしたり、本を読んでリラックスしたりすることで、園内散策の英気を養っていってください。」
ちなみに、西村さんのオススメは雨の日の利用だそう。
「雨の日って、本を読むのにぴったりじゃないですか?雨音を聞きながら、気になる本を読んだり、雨で生き生きとした窓の外の植物を眺めたり。自分時間を楽しめますよ。」

牧野植物園で見られる博士ゆかりの植物たち

提供:高知県立牧野植物園

春:サクラ属の園芸品種‘仙台屋’(バラ科)
高知市の「仙台屋」という商家の屋敷にあった桜で、牧野博士がたいへん
気に入っていたことでも知られています。
ヤマザクラの園芸品種とされていましたが、近年の研究によりオオシマザクラを基にヤマザクラなどと交配した雑種であることが判明しました。

提供:高知県立牧野植物園

夏:ヨコグラノキ(クロウメモドキ科)
牧野博士が1884(明治17)年に高知県横倉山で発見し、学名を発表しました。
博士が標本を採集した原木は今も横倉山にあり、樹齢160年以上といわれています。

提供:高知県立牧野植物園

秋:ジョウロウホトトギス(ユリ科)
高知県の石灰岩地のみに生育する多年草。
牧野博士が23歳の時、高知県越知町にある横倉山で発見し、優雅な花を宮中に仕える貴婦人(上﨟:じょうろう)に例えて和名をつけました。

冬:バイカオウレン(キンポウゲ科)
幼い頃より郷里、佐川町に生えていたバイカオウレンが大好きだったという牧野博士。
晩年は見舞人が持ってきたバイカオウレンに顔をこすり付けて喜び、故郷高知を懐かしんだといわれています。葉は園のロゴマークにもなっています。

「ありのまま」の自然を育む植物園

今回紹介したポイントの他にも見どころは沢山!
熱帯さながらの温室は、国内外から集めた貴重な植物や色鮮やかな熱帯花木、熱帯果樹など力強い緑を一年中楽しむことができるほか、標高131mに広がる「こんこん山広場」では、牧野博士が終の棲家である東京都練馬の自宅で育てていた「牧野博士お手植え植物」や、国内の植物園ではあまり見られない台湾産ツツジ属植物のコレクションなどを見ることができます。

自然が織りなす豊かな景色と共に、何度訪れても新たな発見と共に学びの多い「牧野植物園」。
訪れる際は、植物の美しさや面白さだけでなく、牧野博士の植物への愛、そして、それを受け継ぐ人たちの情熱に想いを馳せながら散策してみてください。

本記事でガイドをしてくれた西村さんは、窓口などで無料配布している「見ごろの植物マップ」(1週間毎更新)の作成もしているので、HPの「見ごろの植物データベース」と併せて散策の参考にしてみてください。
また、2026年4月より、参加費無料・当日受付で気軽に参加できるガイドツアー「まきのガイドウォーク」が月2回開催されるので気になる方はぜひご参加を。詳しい内容は公式HPをチェック!

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