やなせたかしさんの「愛と勇気」の軌跡をたどる、物部川エリアの旅

「やなせたかし」のふるさと・物部川エリア

「人生は喜ばせごっこ」という言葉を胸に、漫画家として、また絵本作家や詩人、編集者など多彩な分野で活躍したやなせたかしさん。 幼少期を過ごした高知県中部・物部川エリアには、やなせさんの原風景ともいえる自然とともに、“やなせワールド”を体感できるスポットが点在しています。 この記事では、やなせさんゆかりのスポットをご紹介します。

目次

“世界一弱いヒーロー”を生み出した、漫画家・やなせたかし

1919年高知県生まれ。中学時代から絵に関心を持つ。東京高等工芸学校(現・千葉大学工学部)でデザインを学んだ後、戦後は高知新聞社に勤務。その後上京し、三越宣伝部を経て、1953年に漫画家として独立。
漫画、舞台美術、作詞家(『手のひらを太陽に』など)と幅広く活動し、1973年に創刊された雑誌『詩とメルヘン』では編集長を務めました。
そして、同年に絵本『あんぱんまん』を発表。1988年のテレビアニメ化をきっかけに国民的キャラクターへと成長しました。
晩年まで創作を続け、2013年に94歳で逝去。
「人生は喜ばせごっこ」ということばをはじめ、その思想と作品は、今も世代を超えて受け継がれています。

香美市立やなせたかし記念館

香美市香北町にある「やなせたかし記念館」は、やなせさんがこれまで創造してきた世界を体系的に紹介する文化施設として設立されました。
「アンパンマンミュージアム」や「詩とメルヘン絵本館」をはじめ、企画展を行う「別館」や、アンパンマンと仲間たちの石像が並ぶ「やなせたかし記念公園」など、「やなせワールド」の魅力を多角的に伝えています。
自然豊かな香北の風景の中で、やなせワールドにじっくり浸れるのも大きな魅力です。

アンパンマンの世界を余すことなく詰め込んだ、「アンパンマンミュージアム」

©やなせたかし
©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

館内は1階から4階、地下1階までの構成で、原画展示やシアター、ショップなどを備えています。
1階では「アンパンマンシアター」やミュージアムショップなどがあり、作品の世界への入口として楽しめます。
ミュージアムの中は、貴重な展示品はもちろん、細部に渡って来客者を楽しませる工夫があり、やなせさんのユーモアな遊び心とおもてなしの心から生まれた、子どもだけでなく大人も楽しめるミュージアムです。

©やなせたかし

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

中に入るとすぐに、受付の真上で空を飛ぶ大きな「アンパンマン」と、「やなせうさぎ」が出迎えてくれます。

©やなせたかし

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

1Fフロアには、ここでしか見られない「アンパンマンの手形」や「シアター」、グッズを販売している「ミュージアムショップ」などがあり、作品の世界への入口として楽しめます。

©やなせたかし

2階の大壁画はフォトスポットとして人気。多くのキャラクターが描かれ、子どもから大人まで記念撮影を楽しめます。一番下のアンパンマンは3歳ごろの子どもと同じくらいの背丈になっているそうで、並んで撮影するのもおすすめ。

©やなせたかし

最上階では、やなせさんが描いたアンパンマンの作品をギャラリーで楽しめます。特別に描き下ろした作品や、ここでしか見ることができない貴重な絵本原画などを多数展示。
筆のタッチや細かな表現・描写まで、色彩豊かに描かれた作品を間近で鑑賞できるのはこちらならでは。
やなせさんによって描かれた美しく、温かい世界があなたを待っています。

やなせたかしの世界「詩とメルヘン絵本館」

やなせさんが編集長として立ち上げた、雑誌『詩とメルヘン』で掲載された表紙やイラストのほか、多彩な作品と絵本も収められた美術館。
イラスト原画が展示されているギャラリーの鑑賞はもちろん、オリジナルグッズのショップ販売もあります。
館内には「ピアノフォルテ」と題された階段もあり、『詩とメルヘン』ゆかりの書籍をゆっくり読むことができるのも施設の魅力。
年に2〜3回ほど、国内外の絵本作家による企画展なども実施。
大人になったからこそ受け取れる、やなせさんからのメッセージを味わいましょう。

人生を支え合い、共に歩んだ二人が眠る地「やなせたかし朴ノ木(ほおのき)公園」

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

やなせたかし記念館より車で5分。香北町・朴ノ木の豊かな自然に囲まれた「やなせたかし朴ノ木(ほおのき)公園」は、柳瀬家の跡地でもあり、やなせさんと妻・暢(のぶ)さんが眠る場所でもあります。
遺骨は、やなせさん直筆の詩碑の下に収められており、両側には「アンパンマン」と「ばいきんまん」の石像が並んでいます。
少し斜めを向いているのは、「アンパンマンミュージアム」を見守るように建てられているからだそう。やなせさん夫婦に会うため、今でもファンが足を運んでいます。

すべての原点“やなせライオン”をもっと身近に「やなせライオン公園」

南国市・後免町の一角に建てられた「やなせライオン公園」。
「やなせライオン」と名付けられた一際目を惹くライオンのオブジェは、やなせさんの幼少期に家の庭にあった像のレプリカ。
弟の千尋さんと毎日米のとぎ汁をかけて苔を生やし、緑色のライオンにしようとするなど、やなせさんらしいお茶目なエピソードも。
「このライオンがすべての原点でぼくの人生の出発点」と語るほど、やなせさんも愛着を持っていた優しい顔のライオンです。
公園内には、やなせさんの分身ともいえる「やなせうさぎ」や「ボオ氏」といったやなせ作品に登場するキャラクターのモニュメントのほか、やなせさんが作詞した「手のひらを太陽に」をオマージュした「手のひらベンチ」なども設置されています。

座っている「やなせライオン」の周りを囲むように並ぶ噴水は、毎日9時から20時30分まで稼働し、17時からはライトアップもされるので、撮影スポットとしても人気です。

特徴のある、天井のサンバイザー形のバーゴラ屋根は、いつもオシャレな帽子をかぶっていたやなせさんへのオマージュになっています。

後免町商店街をやなせワールドに!「やなせたかしロード」

©やなせたかし

南国市後免町商店街は、市政50周年を機に「やなせたかしロード〜少年の心になれる道〜」と、新たに名付けられました。
やなせさんと後免町とのゆかりを後世に残したいという地域の思いと、やなせさん本人の協力によって誕生した町並みです。

©やなせたかし
©やなせたかし/やなせスタジオ
©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV

商店街には、アンパンマンやばいきんまんをはじめとする7体の石像が設置されており、店舗のシャッターや壁面にもイラストが描かれているので、やなせ作品の世界観を感じながら散策できます。キャラクターを探しながら街歩きを楽しんでみてください。

愛称は“ありがとう駅”2つの言葉がひびきあう、「後免町駅」

©やなせたかし

土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線には、よく似た名前の駅が連続で存在しています。
それが、「後免(ごめん)駅」と「後免町駅」。
幼少期を後免町で過ごしていたやなせさんが「『ごめん』の次は『ありがとう』にしよう」という温かな発想から「ありがとう駅」という愛称を付けたことで、「後免町駅」は現在もその名で親しまれています。
駅舎敷地内には、やなせさんが書いた「ありがとう駅の詩」も掲示されています。

©やなせたかし

ごめん・なはり線内の各駅にいる地域を象徴するキャラクターは、ほぼ全てやなせさんがデザイン。後免町駅では「ごめん まちこさん」のモニュメントが見送り、出迎えてくれます。

©やなせたかし

駅前には、やなせさんがデザインした「ごめん生姜地蔵」も。
「ごめん」の一言で「しょうがない しょうがない」と、心のとげを抜いてくれるそう。台座の側面に彫られた言葉の中には「元気百倍」という、やなせさんらしい心温まる言葉も。
まちこさん」のモニュメントが見送り、出迎えてくれます。

「人生は喜ばせごっこ」という生き方をした、やなせたかしさんが遺してくれた景色

この記事では紹介しきれなかった場所にも、やなせさんゆかりの場所はまだまだたくさんあります。
物部川エリアの景色の中には、いつでもやなせさんが生み出したキャラクターたちが、地元の人たちを見守ってくれており、そのご縁が続いているのは、やなせさんの人柄があってこそ。
高知県に訪れた際は、やなせさんが大好きだった物部川エリアの自然を感じながら、ゆかりの地を巡ってみてはいかがでしょうか。

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