お銚子の向こうに土佐人気質がみえてくる
高知では、祝いの宴席のことを「おきゃく」と呼びます。
酔うにつれ、酒杯も自由に行き交うにぎやかさ。
酔うてよいよい面白き、高知の「おきゃく」をご案内。
おきゃくには、
高知の食と酒の文化も座している
昔も今も、高知の暮らしに根づく「おきゃく」文化。
一般に結婚式やお節句、神事、棟上げをはじめ、厄年厄よけ、年季祝いや花見の宴など、祝いの酒宴のことをこう呼びます。
かつては祝宴にお招きするゲストを「お客」と言っていたようですが、いつのまにか宴そのものを指すようになりました。
高知の人は、このおきゃくが大好き。おきゃくに呼ばれるだでテンションが上がります。最初のうちは席にじっと座っていますが、宴もたけなわとなると、お銚子や杯を片手に提げてお行儀悪くウロウロし始めるのが特徴。あちこちで土佐式の「返杯」「献杯」を繰り広げるのです。
おきゃくは
皿鉢がなけりゃ始まらん
そのおきゃくの席には「皿鉢(さわち)がなけりゃ始まらん」わけで、宴席には鯛の活け造りや刺身、海山の幸や果物、ようかんなどを大皿にふんだんに盛った皿鉢料理が並びます。皿鉢料理は江戸時代から続くもので、自分が好きなものを好きなだけ小皿にとって食べるバイキング方式。その料理の飾りに添えられた南天の葉やハランになぞらえ、宴が終わってもいつまでも残っている客を「南天組」「ハラン組」と呼びます。また、おきゃくには「箸拳」や「べろべろの神様」など、お座敷遊びも健在。
高知の食や酒の文化とともに、陽気さが全開になります。
高知では、酒にまつわる楽しい文化が今も脈々と受け継がれています。
そんな酒や郷土料理、皿鉢料理等が振舞われる「おきゃく」で繰り広げられる
土佐流の飲み方を紹介します。
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敬意を表すため、目下の者から目上へ、自分の杯を差し出してお酒を注ぎます。
これが献杯です。注がれたほうは、干した杯を下へ置かず、その杯でお返しに注ぎます。これが返杯。
そのため各自がお目当ての人の元へ移動する光景が見られます。 -
「べろべろの神様」の唄ではやしたてながら、コマを回し、止まった時に軸の向いている方向にいた人が、コマの表になった絵柄の杯を使って飲むという宴会遊びです。天狗とひょっとこの杯は飲み干すまで置けない仕掛けがあります。
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人数分の杯を裏返しにして、その一つに菊の花を隠します。順番に一人ずつ杯をあけ、菊の花が入っていれば当たり!当たった人はすでにあいている杯の数だけお酒を注いで飲めるという、ドキドキの宴会遊びです。
高知の食文化を楽しむ催しとして開催される土佐の「おきゃく」。
商店街アーケードで、酒を酌み交わす人たちの笑顔が溢れる「日本一の大おきゃく」や、高知に縁のある著名人をゲストに楽しいトークや料理が味わえるおきゃく、列車や路面電車の中で宴会をするおきゃくなど、期間中40あまりのイベントが行われます。
戻りガツオ、新米、アユ、山菜など、高知の人が自慢したい秋の味覚、旬の食材たちを、観光客の皆さんと一緒になって食べ尽くそうという「食のまつり」が土佐の豊穣祭。期間中は県内7か所で、地域の食材にこだわった大規模な食イベントが行われます。同時に大小の食イベントが多数開催され、高知の食のおいしさを県内各所で味わえる期間になります。