世界ジオパークにも登録されている室戸市を、
漁師の松尾さんがナビゲート。
普段は足を踏み入れられない場所、
まだ出会ったことのない生物、
そして、地元だから味わえる料理…。
海の偉大さを実感できる室戸市には、
あなたの知らない高知がきっとあります。
まだ見ぬ深海生物や
豊かな魚種、
室戸で海の恩恵を存分に!
まずは自己紹介をお願いします!
遊魚船「海来」(みらい)の船長をしている松尾です。室戸の海の素晴らしさに魅了され、漁師になってこの地で水族館を開くために大阪から移住して来ました。
室戸の海は陸地から2kmほどで深海になり、黒潮が流れ込む特殊な地形のため、とにかく魚種が豊富です。獲れない魚はないんじゃないかと言えるほど。そして、国内でも屈指の深海生物が生息しているエリアでもあり、新種を発見できる可能性も秘めています。
今回ご紹介するのは、そんな室戸の海の恩恵を存分に感じられるスポットです。一般の方は入れないような場所も特別にナビゲートできるので、ぜひお楽しみに!
「民宿徳増」の
前から見る朝日は、
すごく贅沢な当たり前。
この朝日を初めて見たのはいつ頃ですか?
父の知り合いが「民宿徳増」の親戚で、小学3年生の時に泊まりに来て初めて見ました。子どもながら「スゴイ!」と思ったのを覚えています。それ以来、夏休みや冬休みの度に長期滞在していたんですが、目的は漁に出ることだったんです。
だから、必然的に毎朝見ていましたね。目の前を遮るものがなく、どこまでも続く水平線に朝日が昇る景色は、大阪人の自分にとっては非日常なものですが、室戸では当たり前。でも、これってとても贅沢な当たり前だなと思うんです。
朝日を見るならどの季節がベストですか?
雲の少ない冬の方が、よりくっきりと朝日の姿を確認できると思います。水平線から顔を出し、海面に反射する光景がだるまのように見えるだるま朝日は、冬だと出会える確率がさらにアップ。ぜひ、皆さんにも見てもらいたいですね。すぐ近くには徒歩で行ける尾崎ビーチもあるので、朝のお散歩もおすすめです。
日本屈指の大きさを誇る、
大敷網漁の水揚げを間近で!
松尾さんがこの水揚げ風景をおすすめする理由は?
実は小学生の頃から乗せてもらっていたのが、この大敷網漁の船なんです。600mもある大きな定置網を使っているんですが、その大きさは日本屈指のサイズ。1回の漁で数十トン獲れる時もあるので、水揚げ風景も迫力満点なんです。
今日はサバが多いですが、ブリやカツオ、アジなどもよく水揚げされていますね。個人的にはそんなメジャーな魚よりも、漁師さんが選別時に省く珍しい魚に興味津々。ひまを見つけてはちょくちょく来て、漁師さんと話しながら珍しい魚を探しています。
水揚げ風景は自由に見学できるんですか?
漁港近くの道から離れて見る場合は、自由です。漁港内で見たい方は、私が行っている深海生物漁業体験をご予約いただければ一緒にご案内します!県内はもちろん、県外に出荷されるさまざまな魚を間近で見られるので、きっと貴重な体験になると思いますよ。
アクアファームにある松尾水槽なら、珍しい魚が生きた状態で見れる!
アクアファームはどんな施設ですか?
室戸の自慢の一つである海洋深層水のことを詳しく学べる施設です。生きている深海生物も展示されていますし、地元民御用達の海洋深層水の販売もあるので、海の恩恵をぜひ体感してもらえれば!
松尾さんが同伴の場合は、特別な場所にも案内できると聞きました。
アクアファームの裏に、私専用の松尾水槽があるんです!そこには私が獲った深海生物を飼育していて、特別に案内することができます。水族館や研究施設に送る前のものなので時期によって変わりますが、今日なら生きた金目鯛がいます。生きた状態の金目鯛はとても珍しくて、西日本で見れるのはここくらいかもしれません。
海洋深層水で飼育し、ライトなどを当てずに自然光で観察できるため、ありのままの姿を楽しめるのがポイント。他にも新種の可能性があるタコ、ナヌカザメなど、室戸の海で育った希少な深海生物がいるので、ひょっとすると世紀の大発見となる生物と出会えるかも!深海魚漁業体験をご予約いただければ、ご希望の方には案内可能です!
獲って、触って、食べてみる、
西日本初の深海生物漁業体験。
深海生物漁業体験ではどんなことができるんですか?
室戸の海は、陸から深海がとても近いのが特長なんです。その利点を生かして始めたのが、深海生物漁業体験。乗船してスポットに向かい、仕掛けておいたカゴを水揚げし、深海生物の選別をしてもらいます。私自身ほぼ毎日海に出ていますが、本当にワクワクが尽きないので、皆さんにもぜひ体験してもらいたいですね。体験時間は4時間くらいで、大人13,200円、子ども6,600円です。
松尾さんが思う、深海生物漁業体験のおもしろさとは?
やっぱり、見たこともないような生物と出会えるところですね。これまでにも高知県で初発見のものが10種、世界で2個体目となるエビなど、希少な深海生物と出会ってきました。それに図鑑でしか見たことない生物が、実際に生きている状態で現れるんです。目もキレイだし、動きも確認できるから、生物好きにはたまらないと思います。選別している時は、まるで宝探しのような気分ですね。
そして、体験の最後には、オオグソクムシの試食体験がお待ちかね。ほぼ確実に水揚げすることができる生物なので、興味のある方はぜひ!太古の生物のような見た目ですが、味はエビやカニに近い感じです。素揚げでカリッとした食感とともに楽しんでください。地元の子どもたちは、みんなバクバク食べていますよ。
「民宿徳増」のごはんは、
今朝獲れた魚や
地元の食材がずらり!
松尾さんが「民宿徳増」のごはんのココがスゴイと思うところは?
都会では味わえない魚の新鮮さと地元の食材にこだわり、まさに地産地消を実現している民宿ですね。いつも今朝獲れた魚が当たり前のように並んでいますが、それって本当に贅沢なこと。料理の内容も毎日違いますし、品数の多さにもビックリ。どれから食べようか、ついつい悩んでしまいますね。
松尾さんが好きなメニューは?
小学3年生の頃から食べているんですが、変わらず大好きなのは天ぷらです。その日によって異なる具材を絶妙にサクッと揚げていて、米が止まらなくなるほどのおいしさ。刺身も抜群ですし、中でもハガツオが入っている日はテンションが上がります。室戸に来る仕事関係の方や友人には、いつも「民宿徳増」さんをおすすめしていて、宿泊(1泊1人/7,000円)の際は一緒にこの豪華なごはんを味わっていますね。
3代目の和也兄ちゃんとは、出会ってもう20年くらい。いつも気にかけてくれていて、その温かい人柄も料理に現れているのかもしれません。「うちの目の前にある、太平洋という名の天然の生けすで獲れた魚を使う!」とよく言っていますが、まさにその通り。この室戸の海の素晴らしさをごはんで表現しているので、味わってもらえれば誰もが納得&大満足すると思います!
珍しい深海生物や
楽しい体験とともに、
室戸で待っています!
これから高知県を旅する方々に一言お願いします!
高知県室戸市は、太平洋に面した自然豊かな場所です。山あり、川あり、海があり、たくさんの自然が皆さんを待っています。私はこの室戸の海を舞台に、珍しい深海生物を獲っています。おいしい食べ物やワクワクする体験もあるので、ぜひ皆さんのお越しを待っています!
